(8)うさぎのミミリー(ISBN:4101139059)

うさぎのミミリー (新潮文庫)

うさぎのミミリー (新潮文庫)

タイトルとカバーだけ見て買った本。80を越える老夫婦の日常生活をつづった、日記体のエッセイ。自然を身近に感じて過ごし、人との行き来をつづる様子は、昔から日本人が過ごしてきたあるべき姿、みたいな気がする。「○○の花が咲いてくれた。ありがとう。」とか、「○○してくれた。うれしい。」とかすごくさりげなく書かれているのが、特別なことではないのだけれど普段の自分の生活に欠けているものだなー、としみじみと思った。
吉田牛乳(牛乳屋のおじさん)と鈴虫の話、夫のハーモニカに合わせて歌う奥さんの話、食事時に読んだ本の内容を教えてくれる奥さん(「大草原の小さな家」うを読んでいたり)、うさぎのミミリーが工事の音を聞いて地面を強くたたく話*1などなど、好きな話は色々。筆まめな娘さんの話もいい。
巻末に江國香織さんとの対談があって、今作が長く続いているシリーズ最新作だと初めて知った。『貝がらと海の音』『ピアノの音』『せきれい』『庭のつるばら』『鳥の水浴び』『山田さんの鈴虫』、タイトルもきれいだなぁ、読むかどうかわからないけどメモっとく。『懐かしきオハイオ』『ガンビア滞在記』という、アメリカの生活記もおもしろそう。

*1:シートン動物記」によると危険を知らせる仕草らしい