(16)夜明けのメイジー(ISBN:4151753516)

夜明けのメイジー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

夜明けのメイジー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

第一次世界大戦の約10年後のイギリスを舞台とした話。メイド、大学生、看護婦、探偵と自らの才能と人間性で回りに引き立てられながら歩んできたメイジー*1
森川久美さんのイラストの表紙に惹かれて買った本ですが、これまで100冊クラブで読み終わった中で一番よかった。
相手の心理を推し量るのに、その人と々姿勢をとってみて、自分の心に浮かんでくる感情を分析するところ。嫌な質問をした相手に、それを忘れるために好きなこと(買い物など)をさりげなくさせるように仕向けて、嫌な気持を中和して幸せな気持で一日を終えるように取り計らうところ。メイジーのとる手法は、探偵というよりも心理カウンセラー*2のよう。
人々に戦争の傷が静かに深く残る様子を読みながら、涙ぐんでしまいました。
そういえば、昔は手足を亡くしたりした元軍人さんがターミナル駅などに集まっていたのを思い出しました。最近は見なくなりましたね。

*1:ここらへん、ちょっと御木本幸吉翁を連想したり

*2:本当はどんなだか知らないのでイメージ