(20)おいしい話

図書館のヤングアダルトコーナーで借りてきました。解説付きの短編集で、マンガも一編収録されています。"Little Selection あなたのための小さな物語"というシリーズ名のようで、他にも7冊ほどあります。編者の赤木かん子さんの冒頭の短い言葉も素敵でした。本筋とは関係ないところで引っかかったのがここ。

日本人はビジュアルセンスが良いので、字のデザインそのものが古くなるともう読めないんですね。

昔の文庫本などは字が小さくて古いので読みにくい、ということなのですが。こういった視点で見たことがなかったので、面白いと思いました。

収録作とネタ本(?)

それぞれに面白かったので、元の本もそのうち読みたいと思ってメモ。

焼岳の月見(庄野英二

ユングフラウの月』(創文社)という短編集から。絶版のようです。
google:ユングフラウの月
月夜に出会った14匹のギンギツネ。月光石の目玉が光った。しんしんとした夜の風景が思い浮かびます。主人公の画かきが、頂上に上った後に水にうつる満月を見よう、と火口湖に近づいて行く何気ないシーンが好き。

ソリマンのお姫さまの話(カレル・チャペック)

長い長いお医者さんの話 (岩波少年文庫 (002))

長い長いお医者さんの話 (岩波少年文庫 (002))

チーズつきパンがおいしそうだ。

ぶり大根(清水義範

12皿の特別料理 (角川文庫)

12皿の特別料理 (角川文庫)

新婚の男女の1シーンなんだけど、一編がそのままレシピになっている短編。ぶり大根だけでなく、あさりの味噌汁と和風サラダ、と組み合わせて献立で作るのがお見事。惚れ惚れする手際のよさ。お湯をかけてぶりの臭みを取るところと、和風サラダが個人的にはツボ、おいしそー。他のも料理も見たくなりました。

夏の盃(波津彬子

『雨柳堂夢咄』(うりゅうどうゆめばなし)というシリーズの一編、もののけを見ることのできる骨董屋の孫が主人公。「もののけの訴えを聞いてできる範囲で彼らや持ち主の傷を癒す」というテーマだそうです。
この人の絵は何となく苦手だったんだけど、読んでみたら和な内容とマッチしてると見直しました(失礼)。

食べる(池波正太郎

江戸前食物誌 (ランティエ叢書)

江戸前食物誌 (ランティエ叢書)

言わずと知れた名手ですが、私は初めて。確かにうまいよなー(失礼)。読む快楽みたいなものが味わえると思いました。